東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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オーロラBキナーゼによるシュゴシンSgo2のリン酸化はPP2AおよびMCAKのセントロメア局在を促進する

(Yuji Tanno, Tomoya S. Kitajima, Takashi Honda, Yasuto Ando, Kei-ichiro Ishiguro and Yoshinori Watanabe. “Phosphorylation of mammalian Sgo2 by Aurora B recruits PP2A and MCAK to centromeres.” Genes Dev. 24 (19), 2169-2179, 2010)

細胞が分裂して増殖する過程において、複製された染色体は娘細胞へと均等に分配されます。均等な分配のためには、複製された染色体が分離されるまで接着を維持してペアを形成することと、分裂期において動原体ペアが細胞両極から伸びた微小管に接続して整列することが必要です。本研究では、セントロメアに局在する因子であるヒトシュゴシンSgo2のオーロラBキナーゼによるリン酸化が、染色体の接着と整列を制御することを明らかにしました。RNAiによってSgo2の発現を抑制したHeLa細胞が、オーロラB阻害細胞と同様に染色体の接着および整列異常を示したことから、両者が協調してはたらいている可能性について検討を行いました。その結果、Sgo2は、オーロラBによってリン酸化されることで姉妹染色分体の接着の維持に必要なプロテインホスファターゼPP2Aおよび染色体の整列に必要な分裂期セントロメアキネシン(MCAK)との親和性を高め、これらの因子をセントロメアへと局在化させることがわかりました(図)。さらに、マウス精原細胞を用いた実験結果から、配偶子を作るための過程である減数分裂においても同様の機構がはたらいている可能性が示唆されました。以上より、Sgo2はオーロラBの重要な基質の1つとして、適切な染色体分配に寄与することが明らかとなりました。染色体の分配異常は、細胞の癌化及び癌の悪性化、さらにはダウン症などの先天的な疾患と密接に関わることが示唆されており、本研究成果がこれらの疾患の原因解明に役立つことが期待されます。

本GCOEプログラム事業推進担当者
分子細胞生物学研究所教授 渡邊嘉典

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