東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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シュゴシンはカゼインキナーゼIに拮抗することによりコヒーシンをセパレースの切断から守る

(Tadashi Ishiguro, Koichi Tanaka, Takeshi Sakuno and Yoshinori Watanabe. “Shugoshin-PP2A counteracts Casein Kinase 1-dependent cleavage of Rec8 by separase.” Nature Cell Biol. 12, 500-506, 2010)

体細胞分裂では、染色体を接着するコヒーシンが染色体全長にわたってセパレースによって分解されることにより、染色体が両極へ分配されます(均等分裂)。これに対して、生殖細胞の減数分裂のときには、セントロメアのコヒーシンがセパレースの切断から守られることにより、染色体はセントロメアの接着を維持したまま同一極へ分配されます(還元分裂)。これまでの研究から、減数分裂のときはシュゴシンというセントロメア因子がタンパク質脱リン酸化酵素PP2Aを局在化させることによって、この「守る」働きをしていることが分かっていましたが、その分子機構は謎に包まれていました。今回、減数分裂のときのコヒーシンのセパレースによる切断には、カゼインキナーゼによるコヒーシンのリン酸化が必須の働きをすることを突き止めました。さらに、シュゴシン・PP2Aは、セントロメアにおいて、このコヒーシンのリン酸化を取り除くことによって、セパレースによるコヒーシンの切断を阻止していることを明らかにしました(図)。これにより、生殖細胞における還元分裂の重要なステップである、セントロメア接着保護の分子機構が解明されました。

本GCOEプログラム事業推進担当者
分子細胞生物学研究所教授 渡邊嘉典

図 減数分裂におけるセントロメア接着保護機構のモデル。カゼインキナーゼによるRec8コヒーシンのリン酸化がセパレースによる切断を促進するが、セントロメアにおいてはSgo1-PP2Aによる脱リン酸化によりこの切断が防がれる。

図 減数分裂におけるセントロメア接着保護機構のモデル。カゼインキナーゼによるRec8コヒーシンのリン酸化がセパレースによる切断を促進するが、セントロメアにおいてはSgo1-PP2Aによる脱リン酸化によりこの切断が防がれる。