東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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女性ホルモンによるマイクロRNA(miRNA)の産生制御機構の解明

(Molecular Cell 36; 340-347, 2009)

 細胞が織り成す多彩な生理作用は、多様な制御機構を介する遺伝子発現により規定されています。中でも、DNA情報を読み取る段階の転写過程は、中心的な役割を担うと考えられています。しかしながら、転写機構に規定されない生命現象も存在します。近年、低分子非コードRNA群の一つ、転写後の翻訳制御機構を担うマイクロRNA(miRNA)が確認され、その生合成機構が注目されています。まず、研究グループは女性ホルモン・エストロゲン投与により細胞内のmRNAが安定化される現象に着目しました。mRNAのタンパク質非コード領域に結合するタンパク質群について解析がなされてきましたが、mRNAの安定化に至る要因を必ずしも十分に説明できているわけではありませんでした。まず、miRNAの産生装置と女性ホルモン受容体ERα相互作用を見出し、miRNA産生の効率が制御されることが明らかになりました。実際に、miRNA量の制御により、血管新生を担う遺伝子の発現が変動することを見出しました。これまで、エストロゲンは核内受容体ERα結合し、核内における転写段階における制御に重要とされてきました。一方、今回の報告により、細胞機能を制御するために、転写機構を介さない女性ホルモンの新たな分子作用点を見出し、ホルモンが遺伝子発現を制御する分子機構を明らかにしました。

本GCOEプログラム事業推進担当者
東京大学分子細胞生物学研究所 教授 加藤 茂明

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