東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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WSTF(Williams Syndrome Transcription Factor)は二つのクロマチンリモデリング複合体の構成因子として
生体内で重要な役割を担っている

(Proc Natl Acad Sci U.S.A. 106. 9280-9285 2009)

 これまでの我々とその他のグループの研究から、ウィリアムス症候群原因候補遺伝子の一つであるWSTFはWINACとWICH という二つのATP依存性クロマチンリモデリング複合体に共通の構成因子であることが明らかになっていましたが、その生体内での役割は明らかではありませんでした。そこで今回我々はWSTF遺伝子欠損マウスを作出し、その解析を行いました。このマウスは、生後数日で亡くなり、その原因はウィリアアムス症候群の患者でも認められる心臓奇形などによることが判明いたしました。さらに詳細な解析の結果、心臓発生を担う転写因子の転写活性がWINAC複合体機能破綻によるクロマチン構造機能の低下によることが明らかになりました。一方、WSTF遺伝子欠損マウスの胎児繊維芽細胞において、DNA損傷修復過程にも異常が認められることが明らかになり、これはもう一方の複合体WICHの機能破綻が原因であることも明らかになりました。以上のことから、ウィリアムス症候群の症状の少なくとも一部は、WSTF欠損に伴う二つのクロマチンリモデリング複合体の機能破綻に起因することを示すことができたと考えられます。

本GCOEプログラム事業推進担当者
分子細胞生物学研究所 教授  加藤 茂明

図

WSTF 遺伝子欠損マウスは生後2日目に死亡する。解析の結果WINACの機能低下による心血管系の発生異常とWICHの機能低下によるDNA損傷修復機能の低下が認められた。