東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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染色体を動かす装置である動原体の方向づけのメカニズムを解明

(Nature 458,852-858, 2009)

 体細胞が増殖分裂する過程で、複製された染色体のコピーが娘細胞へ均等に分配されるためには、染色体の中心部分にある動原体が反対方向からのスピンドル微小管によって捕らえられます。一方、生殖細胞で精子や卵子を形成するときに見られる染色体を半分に減らす分裂は減数分裂と呼ばれ、体細胞の分裂と明確に区別され、複製された染色体の動原体は、一旦は同じ方向からのスピンドル微小管によって捕らえられ、同じ方向へ分配されます。今回、酵母を用いた研究で、減数分裂のときは2つの染色体の動原体の中に埋もれたDNAを染色体の「糊」のタンパク質が接着することにより、その結果、動原体が同じ方向に向くように規定されていることが示されました。さらに体細胞分裂では、動原体部分のDNAの「糊」を積極的にはがし、その代わりに側近領域で「糊」が染色体DNAの接着を維持することにより、動原体が反対方向へ向くように仕向けられていることが明らかにされました。本研究の成果は、ヒトを含めたすべての生物に通じる染色体の方向を決める根本原理であると考えられ、将来的には染色体分配の間違いに起因するヒトの病気の原因解明にもつながることが期待されます。

本GCOEプログラム事業推進担当者
分子細胞生物学研究所教授 渡邊 嘉典

図1

染色体の動原体部分にあるDNAを緑色に、動原体側近のDNAを赤色に標識し、動原体部分のDNAを切り出してその部分の接着を調べたもの。一方向性の動原体を形成する運命にある染色体では、動原体部分のDNAの接着が維持され緑色のドットが一点に見えるが、二方向性の動原体を形成する染色体では、二点に分離することが分かった。