東京大学グローバルCOE 生体シグナルを基盤とする統合生命学
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ヘテロクロマチンはシュゴシンを局在化させることによりセントロメアの接着を守る

(Nature 455: 251-255, 2008)

細胞が分裂して増殖する過程で、複製された染色体のコピーが娘細胞へ均等に分配されることが重要です。このとき、複製した染色体の動原体が分裂装置であるスピンドル微小管によって反対方向から捕らえられたことを確かめるためには、染色体が動原体(セントロメア)のところで強固に接着していることが必要です。この染色体のセントロメアの接着を守る働きをするのがシュゴシン(Sgo1)タンパク質で、Sgo1が欠損した細胞では染色体の分配に異常が生じることが知られています。一方、染色体の特にセントロメア近傍にはヘテロクロマチンが形成されることが広く知られていますが、その主要な役割はよく分かっていませんでした。本研究では、ヘテロクロマチンの主要構成因子HP1タンパク質がシュゴシンと直接相互作用することを見出し、さらに、ヘテロクロマチンの主要な役割がシュゴシンを動原体周辺に局在化させることにあることを発見しました。これは、酵母の細胞を用いて発見したことですが、ヒトの細胞にも保存された染色体のもつ本質的なメカニズムであることも合わせて示しました。染色体の分配メカニズムの解明に役立つことが期待されます。

本GCOEプログラム事業推進担当者
分子細胞生物学研究所教授 渡邊嘉典

図

ヘテロクロマチン欠損細胞ではシュゴシンのセントロメア局在が減少し、人為的にそれを回復させるとヘテロクロマチン欠損による染色体分配異常が相補される。ヘテロクロマチンタンパク質はシュゴシンをセントロメアに呼び込むことにより、染色体接着分子の局在を守る。